HOUSE×HOUSE OFFICIAL SPECIAL CONTENTS

マイホームを買う理由

Policy

不動産コンサルタント
株式会社さくら事務所 創業者 取締役会長

私の人生の目的は

『日本の人と不動産のより幸せな関係を追求し

       その思想を世の中に広めることです

プロフィールへ

長嶋 修

長嶋 修(ながしま おさむ)

「理想のマイホームで家族と楽しく暮らしたい」
「広い庭がほしい」
「趣味を楽しむ部屋がほしい」
「子供に部屋を与えてあげたい」
「親と同居したい」

マイホームの購入動機はまさに人によって様々ですが、
それはあくまでも、願望の達成、夢の実現であるはず。
また、そうありたいものです。ところが最近のマイホーム購入は、夢の実現というニュアンスが、ともするとどんどん薄まりつつあり、代わって不安解消のためのマイホーム購入、というアプローチが増えてきたことに、現代社会が抱える問題を見るような気がします。
現在や将来に対して抱えている不安を消すための行動がマイホーム購入であるというのは、
何か健全な感じがしません。

アメリカの心理学者であるマズローがとなえた、いわゆる欲求段階説では、人間の欲求の段階が五段階のピラミッドになっています。
ピラミッドの底辺からスタートする欲求は、より低階層の欲求を満たすことができると、次の段階の欲求を満たそうとするものとされています。マイホーム購入を、この欲求段階説にあてはめてみましょう。

一段階目は睡眠欲や食欲、性欲などの「生理的欲求」。
二段階目は不安から解消されたい、危険を回避したいなどの「安全欲求」です。

「歳をとったら賃貸住宅を借りられないから」
「低金利のうちに買っておかないと買えなくなるから」
などの不安を解消することが目的となった現代のマイホーム購入は、この二段階目の欲求を満たすための行動といえるでしょう。要するに、人間の欲求段階としてはあまり高くないところを満たそうとしているわけです。

三段階目は「社会的欲求」。
家族や会社、国など、ある集団へ帰属していたいという欲求です。
愛されたい、などの欲求もここに入ります。

四段階目は、注目を浴びたい、自分を認めてほしいという「自我欲求」になります。
わかりやすくいえば「名誉欲」です。
ある家庭がマイホームを買うと、その周辺で連鎖的にマイホームを買う人が増加することがあります。
あの人も買ったのだから私だって、という、競争心から来る名誉欲が働いているのかもしれません。
また、都心の高層マンションを買って知人に自慢したい、などもこの段階ですね。
「高いところから街を見下ろすと偉い人間になった気がするから」
という理由で高層マンションを選択した人もいました。

最後、五番目の段階は「自己実現欲求」。
あるべき自分になりたい、自分の目標を達成したいというもの。
本来、マイホーム購入はここを満たすための行動であるべきでしょう。
マイホームを購入することで、どんな目的を達成したいのか。
マイホーム購入はあくまでも手段であって、その先にはかならず目的があるはずなのです。
マイホーム購入そのものが目的になってしまうと、その目的を達成したあと、マイホームに愛着が沸かないとか、ライフスタイルやライフサイクルが変化した際に対応できないなどの問題が出てくるものです。

マズローの死後、興味深いことが公表されました。
マズローの欲求段解説は五段階ではなく、本当は六段階目もあったということがわかってきたのです。
マズローの周囲にいた人が、後になって証言したのだそうです。
六段階目をマズロー本人が発表しなかったのは、当時の社会状況の下で、政治的イデオロギーの道具にされることを恐れたため、と言われています。

その六段階目の欲求とは、「コミュニティー発展欲求」。
マンションや地域、国など、自分が所属するコミュニティ全体の発展を望む欲求です。
この欲求は実は、これからのマイホームの価値を決める、重要なポイントとなります。

これまでのマイホーム購入で住む地域を決めるときは、
「住みたい場所に住む」というよりも「買える場所に住む」とでもいうような、経済的な事情が優先されがちでした。
特に高度成長期にはその傾向が著しく、結果として現在、郊外のベットタウンの多くで徐々に空き家が目立ち始めています。日本がこれから本格的な人口減少や少子化・高齢化社会に突入する中、放置しておけばこの事態は悪化するばかりだろうと予想されており、国は郊外地域の治安の悪化やスラム化を懸念しています。
地方には、限界集落などといって、過疎化が著しい地域がありますが、それと同様な現象が都市部の郊外でも起こるのではないかと危惧しているのです。

そこで、これから住む地域を選ぶときのポイントとなるのが、
「その地域を愛している人の割合が高いかどうか」。
高くない地域、住人の地域に対する愛着があまりない地域では、
国が危惧するとおりのことが起きてしまうでしょう。
地域に愛着や誇りを持って住んでいる人が多い地域は、人を惹きつける魅力を備えているもの。
そんな地域に人は引き寄せられるように集まります。
人が集まる地域は経済も動き、住みやすさを増し、結果として地域の不動産の価値も高まることとなるでしょう。

いずれにせよ未来の日本は、価値を保ち続けられる一部地域と、そうでない大半とに二極化していきます。
これからは、自分自身が愛着を持てる地域を選ぶことが大切なのです。

マンションもしかり。
住民で結成する管理組合の意識が高いマンションとそうでないマンションとでは雲泥の差です。
建物の寿命、住んでいての快適性、ひいては資産性にまで影響します。
管理意識が低くスラム化するマンションと、築年月が経過しても風合いや味わい、
価値のあるヴィンテージマンションとに二極分化するでしょう。

私たちの暮らしや、それを取り巻く状況はいま、大きな岐路、歴史的な転換点にあります。
経済はかつての景気循環論があてはまらない、まったく別の局面へと移行しはじめ、政治は停滞するどころか混沌を極めています。これから突入するであろう本格的なデフレ、そしてその次のリスクも潜在するなか、社会の不透明要素はますます強まるばかりです。

私たちはこの激動の時代を、どう生きていけばいいのでしょうか。
何を選択し、どのように行動すればいいのでしょうか。

不動産コンサルタントである私の目から見た、日本経済低迷の根本的な要因と危機を脱するための方策、産業構造転換への具体的な政策提言とともに、これからの時代に個人がお金や資産、不動産とどう付き合うべきか、人を幸せにする経済活動とは何かを追求しました書籍を出版しました。ぜひお読みになってください。

~ポスト成長主義社会を豊かに生きる方法~
『不動産のプロから見た日本経済の活路』(長嶋 修著/PHP出版)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4569707408/sakurajimusyo-22/

 

Backnumber



Profile

長嶋 修 (ながしま おさむ)

■国土交通大臣認定不動産コンサルティング技能登録 (1)23626号/■宅地建物取引主任者/
■経済産業省 今後の住宅産業のあり方に関する研究会 委員/■経済産業省 平成18年度住宅ストック流通促進委員会 委員/
■埼玉県 安心リフォーム普及事業 埼玉県リフォーム工事検査マニュアル作成会議 構成委員/■経済産業省 平成17年度消費者エージェント普及検討委員会 委員
■経済産業省 国土交通省 平成17年度住宅ストック利用促進研究会 委員/■経済産業省 平成16年度住宅産業関連ニュービジネス支援策検討委員会 委員
■日本ホームインスペクターズ協会 理事長/■株式会社ライフデザイン 取締役/
■NPO法人すまひとプロジェクト 理事長/■不動産投資家倶楽部『EXCEED-X(エクシード エックス)』 主宰