


「2011年 住宅は買い時か?」
住宅購入には良い条件が、短期的には出揃っています。
まずは何といっても「歴史的な低金利」 民間格付け会社の日本国債格下げの影響もあって、住宅ローン金利はちょっと上昇しましたが、それでもまだ歴史的な低金利水準であることに変わりはありません。
また「住宅ローン控除」は10年もの間、ローン残高の1パーセント分の所得税を軽減してくれ、「印紙税」「登録免許税」「不動産取得税」「固定資産税」などにも軽減が働いているおかげで、実質的には金利のかなりの部分を国が負担してくれているようなものです。
ましてやフラット35などは、国から数千億のお金が住宅金融支援機構に入った上での低金利。国債発行して借金しながら、住宅を購入する人に補填して支援してくれているのです。「住宅エコポイント」も税金が投入されています。お金に色をつけることはできませんが、これも国債発行によってまかなわれていると考えていいでしょう。
これらの要素は“住宅価格を高止まりさせる方向”にその力が働いています。つまり「いま住宅を買う方は、各種のバックアップ体勢があって毎月の支払いを抑制しやすいが、住宅の資産価格は高いところで買っている」ということです。
換言すれば「フロー(毎月の支払い)では大きく得をしているが、ストック(物件価格)ではそうとはいえない」ということです。
例えば今年3500万円で購入した住宅を、10年後に売却する場合を想定してみましょう。
この物件を買ったときあなたは“毎月の支払いが10万円で買える物件”を選びました。金利は2%、期間は35年ですから住宅ローンは約3,000万円借りることができたのです。年収は500万円ですから返済比率(税込み年収に対するローン年間支払額)は24パーセント。これに自己資金500万円を足して、物件価格は3500万円の物件を買ったわけです。
10年後、この物件を売却します。
このとき、金利は上昇し4パーセントになっていると仮定します。10年後、やはりあなたと同じような条件の方(年収500万、希望支払額月10万)が住宅を購入しようとするとき、金利が4パーセントになっていたら、同じ支払い(月々10万円)で借りられる額は2,260万円と、あなたのときより740万円も下がってしまいます。
つまりこの方は、自己資金500万円をたして、物件価格2,760万円の物件しか買えないのです。これが、住宅ローンを組んで家を買う方の全ての場面で起こります。住宅購入は、ローンを組んで買う方が実際にはほとんどで、かつ物件価格90パーセントかそれ以上のローンを組む方の割合が非常に高いのです。
金利が上昇したら、物件価格を下げないと住宅は売れませんから、それなりの水準にまで下がったところが均衡点となります。
ちなみに、毎月10万円の支払いで借りられる額は、金利ごとに以下のとおりです。(期間35年)
2%のとき:3,000万円
4%のとき:2,260万円
5%のとき:1,980万円
6%のとき:1,750万円
「低金利は不動産価格を高止まりさせている」とはこういうことです。
では、今後金利が上昇する可能性はあるでしょうか。あるとすればどのような理由があるでしょうか。そしてどのくらい上昇するのでしょう?
正解は「そんな答えは誰も持っていない」「誰にもわからない」ということです。
将来、金利が上昇する要因は大きく2つ考えられます。「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」です。まず「良い金利上昇」ですが、これは、日本経済が復活し、デフレがストップ、名目・実質ともにGDP成長率が高まるなどの事態です。こうなると一般的に金利は上昇します。ただし現在ではこのような状況(好景気)は少し考えにくいですね。
もうひとつは「悪い金利上昇」これは前述したことと逆の要素で、例えば日本国債の信用がなくなり買い先が現れず、金利が上昇してしまう。紛争や政変などが起こり閣下の信用が揺らぐなど突発的な事態があった場合などです。可能性としては今のところ、前者よりはこちらの可能性のほうが高いのかもしれません。
このときに金利がどうなるかなんて、誰にも予測不可能でしょう。経済学のような、実験ができない学問はこういうときに弱いものです。ハイパーインフレになるとまで言う人もいれば、いやいやそこまでは行かないし、むしろもっと金融を緩和してインフレを誘発したほうがいいのだという人もいます。
多くの方が変動金利を選好しているのが、現在の住宅ローン市場の姿です。私は変動を否定するものではありませんが、これを借りていいのはリスクを理解している人だけであって、多くの人が借りるものではありません。変動金利のリスクはまたどこかで説明します。
話を戻して無理にまとめると「金利は低くて借りやすいが、物件価格は高いですよ」というのが現在の住宅市場です。
ではもう少し待ったほうがいいのか。金利が上昇して物件価格が下がってからかうのがいいのか、ということになりますね。現金買いの方はそれが正解。ローンを組んで買う方はその様なことはそもそもできません。だから、ローンを組んで家を買うにはいい時期だけど、価値が落ちない、落ちづらい住宅を選ぶ必要があり、だから売りやすい、貸しやすい住宅を買う必要があり、またそもそも支払いに無理のない計画を立てる必要があるのです。
こういったアドバイスをしてくれるエージェントと付き合ってください。「売らんが為のセールストーク」には、業界人としてうんざりしており、ハウスハウスでは「親兄弟や友人にするのと同じアドバイスをすること」をデフォルトにしています。
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長嶋 修 (ながしま おさむ)
■国土交通大臣認定不動産コンサルティング技能登録 (1)23626号/■宅地建物取引主任者/
■経済産業省 今後の住宅産業のあり方に関する研究会 委員/■経済産業省 平成18年度住宅ストック流通促進委員会 委員/
■埼玉県 安心リフォーム普及事業
埼玉県リフォーム工事検査マニュアル作成会議 構成委員/■経済産業省 平成17年度消費者エージェント普及検討委員会 委員
■経済産業省 国土交通省 平成17年度住宅ストック利用促進研究会 委員/■経済産業省 平成16年度住宅産業関連ニュービジネス支援策検討委員会 委員
■日本ホームインスペクターズ協会 理事長/■株式会社ライフデザイン 取締役/
■NPO法人すまひとプロジェクト 理事長/■不動産投資家倶楽部『EXCEED-X(エクシード エックス)』 主宰