土日・祝日は、物件見学希望が最も多いときである。なるべく自宅にいて、三つ指そろえて迎えるくらいの心構えを持つべし。それでも外出するなら、我々に早馬を出して知らせよ。
ちなみに、本当に三つ指そろえて見学者を迎えたらドン引きされるゆえ注意すべし。

 

不動産も人間と同じ。第一印象だけがすべてを決める無常の世である。庭木の手入れや物置周辺の整理等々、ゆめゆめ忘れるでないぞ。
ちなみに、人間の厚化粧は素顔になれなくなるゆえ注意すべし。

 

玄関周りをはじめ各居室内など、整理整頓こそもののあはれなり。キッチン、洗面所、トイレなどの「水まわり」には神が宿ると心得よ。最近は専門の掃除業者さんなどという、便利極まりないものまであるという。頼んででも、キレイにしておく価値があろう。ゆめゆめ、賃金を払い忘れるでないぞ。

 

人間はことに「明るさ」を求める生き物。普段は締めっぱなしであろうが、雨戸やカーテンはここぞとばかりに開け放つべし。宮廷のごとき開放感を演出すれば、人々の心を捉えて離さないであろう。
ちなみに、大雨の日まで開け放つと家が川になるゆえ注意すべし。

 

心地よき風の通り道を確保せよ。息をするだけで部屋には匂いがこもるものである。窓を開け、匂いをことごとく撃退すべし。前日の焼肉は特に気配をなくさねばならぬ。
ちなみに、風の確保に気を取られて風邪を確保することなきよう、うがいを忘るるべからず。

 

日当たりが悪いなど、暗い部屋には電気をケチらぬよう。このときばかりはエコを休むのもやむをえぬ。煌々と灯りをともし、千客万来の心構えで迎えるべし。
ちなみに、明るい部屋は埃が目立つことこの上なし。覚悟と掃除を心得よ。

 

見学者に自宅を売り込むことを固く禁ずる。追えば逃げるのが恋愛、不動産も然り。だからと言って、聞かれたことに答えないのは論外であるが、くれぐれも自慢・売り込みは控えよ。
ちなみに、「たいした家じゃないもので、かたじけない」などの謙遜は無用。

 

見学者が知りたいのは生活情報である。もしもここに住むとしたら、買い物はどこにいくのか。学校はどこで、評判はどうか。駅までの道のりは遠くないか。近所づきあいはどうかなど、この格差社会に不安は尽きぬ。
暮らしていて感じたこと、暮らしやすさや近所の様子など、相手の知りたがる情報を一つ残らず出すべし。情報こそが戦の勝敗を左右すると心得よ。

 

中古住宅のライバルは、他の中古住宅にあらず。購入者は常に、「新築住宅」と中古住宅を比較する無常な生き物。新品に負けじと清潔感やあかるさ、開放感を演出すれば、その早く売れること、風の如し。
ちなみに、新品なみのリフォームを施し、新品なみの価格で売ろうとしても、購入者が動かざること、山の如し。

 

販売開始後、早く現れる購入希望者ほど最もその不動産を評価すると知るべし。時がたてばたつほど売却は難しく、最終的な売却価格低下のことわりあり。
売却できた物件の、契約までの平均的な日数はおおよそ3週間~4週間。かくも短くはかなき売却期間はまるで花の命の如く、いとおかし。

 

分譲地のパンフレットや建築時の設計図など、ゆめゆめ捨てるべからず。購入希望者の目にとまるよう、さりげなく置いておくべし。資料をしっかり保管して家を大切にしてきたという印象を与えること、うけあいである。購入後、リフォームやメンテナンスに重要なものと心得よ。
ちなみに、しっかり保管するのは自宅の資料のみ、趣味の切手やクワガタのコレクションなど見せたところで、よもや売却戦が有利になることはあるまい。

 

中古住宅流通が盛んなアメリカでは、自宅をよりスムーズに売却するため、外壁を塗装したり、インテリアコーディネーターなどのプロに依頼して、照明やクロスなど見栄えがするグッズ、家具のレンタルなどで室内を演出するという。なんという意欲、おそるべし執念。
日本の中古住宅売買において、足りないのはこの売却にかける執念ではなかったか。「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」である。いま一度、この秘伝をじっくり読み込み、己を鍛えよ。
本懐を遂げる売却となるよう、志をたてよ。
ちなみに蛇足ではあるが、我々ハウス×ハウスに専任媒介を依頼してもらえれば、我々も売却に執念を燃やすこと、やぶさかではない。